おなじだけど違うもの
- どにち
- 4月1日
- 読了時間: 3分
大きなくくりで言えば同じ「犬」でも、
ゴールデンレトリバーとチワワはかなり違うもののように思えます。
おなじ「お米」でもジャポニカ米とインディカ米は食感がかなり異なるため、
料理によって使い分けた方がより美味しく感じられます。
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これらと同じような話として「絵描き」という大枠は同じでも、
画家、漫画家、イラストレーター、デザイナー、グラフィッカー……などなど、
画業をものする人々も実はかなり性質の違う作業を行っているのだろう、と思います。
画家と言ってもさらに日本画家、洋画家、などと別れるでしょう。
デザイナーというのも、ゲームUIデザインかもしれないし、広告デザインかもしれないし、服飾デザインかもしれません。
漫画も、その内部では幅広いジャンルを抱えています。
「劇画」は母体である漫画そのものに抗うようにして生まれた背景があり、Wikipediaがおもしろい記事です。
そしてまた漫画家さんは掲載誌や単行本の表紙として一枚絵も描くので「イラストレーター」としての側面もあり、
おなじだけど違うものでありつつ、1人の作家さんが複数の要素を持つことも珍しくないわけです。
漫画がアニメ化すると、原作と原作者さんがいるのに、アニメはアニメで別にキャラクターデザイナーさんを立てます。
むかしはふしぎに思っていましたが、原作キャラとアニメ用のキャラはよく見比べるとちょっと違うんですね。
ぱっと見では違いがわからない程度に線や記号を整理していて、アニメとして動かしやすい/演出しやすいようにしているわけです。
そういう意味では、おなじキャラクターデザインでも「漫画向き」「アニメ向き」といった違いがあるようです。
系統樹のように考えても、「絵描き」という1つの根から無数の画業に枝分かれしたものが、
枝葉の先でまたくっついたり分かれたりして……創作に関する分類や弁別は大変複雑ですね。
(しいて分類をする意味もないのかもしれませんが)
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さて、長々とふんわりした話をしていましたが、本題としてどにちが考えていたのは
上記してきたことと同様、ライターというのも同じなものなのだろう、ということです。
ゲームシナリオも小説も出したことがある作家さんは枚挙にいとまがないほど大勢いらっしゃいますし、
偉大なRPG『MOTHER』の作者である糸井重里さんはコピーライターであり、ある意味でブロガーともいえるかもしれません。
このように、重なるところは無数にありますし、
「小説とゲームシナリオでは文章(文体)が違う」なんていうのは言葉にしてみれば
あまりにも当たり前に聞こえすぎてしっかりと意識したことは無かったのですが……
しかし、やっぱり仕事の仕方は違うのでしょう。
こうした違いはもうちょっとハッキリ意識した方がいいのだろうなぁ、とふと思った次第です。
ゲームシナリオと小説は、エンタメのためのフィクションという点では共通していますが、
ここがこう違う、という点は無数にあげていけると思いますし、
そこに躍起になって分断をしたい、という話でもありません。
だいたい、おなじゲームシナリオでもRPGかADVかでもやはり求められる文章の在り方は違うはずです。
ボイスが付くかどうかでも台詞の調子や語彙選びは違ってくるでしょう。
「企画ごとコンセプトごとに書き始める意識からして変わってくる」という考え方ができれば
“おなじだけと違うもの”という複雑な系統樹を俯瞰・横断できるのかもしれない……
というのが、このふんわりした空想の一応の着地点なのでした。
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