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ゲームはリアルになっていく

執筆者の写真: どにちどにち

こんにちは、どにちです。


好きな本のひとつに、三宅陽一郎さん著の

『人工知能の作り方 ――「おもしろい」ゲームAIはいかにして動くのか』(2016年)というものがあります。


趣味のウディタ学習でSRPGを作っていた時に購読し、めちゃくちゃ感銘を受けました。

ゲームの歴史を紐解きつつも実戦的な手法を紹介してくれて、また穏やかながらに好奇心をくすぐる語り口がおもしろい!


 ◆ ◆ ◆


その中で、ゲームAIとして味方や敵のキャラがより賢く在ることを求められ続けたのは、

ゲーム表現がリッチに、リアル志向になっていったから――といった旨の記述があったと記憶しています。

(また再読したいなあ)



パックマンぐらいのゲームで敵が壁にハマって動けなくてジタバタしてるのは「まあ、こんなもんか」と思えても、

さすがに現代の水準のリアルな3Dモデルのキャラが同じ動きをすると相当不気味で強烈な違和感を生んでしまう

……みたいな話かと思います。


そう、確かにゲームのグラフィックが進化し、本当の人間そっくりに作中のキャラモデルやら何やらがリアルになっていくと、他の諸要素もつられてリアルになっていきます。

そうでなくてはつり合いが取れないわけですね。


キャラグラがリアルであれば、AIはきちんと生きて考えているかのような賢さが必要だし、階段を上るとかドアを開けるとかも、モーションキャプチャーを使った人間そのものの自然な動きでキャラが芝居しなければ変に感じるし、会話シーンでは口パク目パチは当たり前にしてくれないと逆にロボットみたいな不気味さが出てきてしまうし、そこまで追求したら当然に声優さんがフルボイスで臨場感たっぷりのをお声をあてていないと……


果てしないですね。


AAAと言われるような有名タイトルはこういう問題に対して真っ向から組み合って、

大作映画に比肩する人員や年月をかけてゲームという<世界>を作っているのでしょう。

すさまじい話です。




一方で、限られた表現力のなかだからこそ出来ること、制限下での工夫……

とでも呼ぶべき発想も存在すると思います。


前回の日記で触れた『パラノマサイト』なんかは正にそっち方向の名作でした。


ボイスとかアニメーションが無くてもキャラクターたちは充分に生き生きしていましたし、

良い意味でクサくて印象深かったBGMも、おそらくボイスが無いからこそアレだけ主張の強い曲調にできたのだと思います。

(リアル系のさいきんのゲームのBGMのほとんどは環境音に接近していっていますよね)



ちょっとネタバレになりますが、

とあるチャプターでは操作キャラ自身がじぶんのことを見失っており、そのキャラといっしょにプレイヤーさんが「この操作キャラは誰なんだろう……?」と追いかけるくだりがありました。


そこで声があると、もう第一声で「少なくともこのキャラは男性or女性だな」とか「ティーンのようだor老人のようだ」と推理が急にしぼられてしまいます。


声が無いからこそ、本当に正体不明な人物として、その謎を無心に追うことが出来たのです。

このあたり、極めて小説に近く、ボイスが無いからこその仕掛けなんですよね。


  ◆  ◆  ◆


ゲームというのはとても自由で、企画によって映画のようにも小説のようにもなれる、

そういう柔軟さがおもしろいなぁ……というお話でした!

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